臍帯血(さいたいけつ)とは、胎盤とさい帯(へその緒)の中にある血液のことです。その中には血液の元になる細胞がたくさん含まれています。
胎盤は、赤ちゃんが生まれて臍帯を切り、10分から30分くらいの間に、後産(あとざん)として出ます。臍帯血の採取量は70ccから80ccが平均的といわれていますが、200cc以上のケースもあります。
何の役に立つの?
白血病や再生不良性貧血などの患者さんの根治治療として、当初、骨髄移植(骨髄に含まれる造血幹細胞=血球を作る細胞を移植することで病気を治す)が医療として取り入れられました。そして徐々にこれらの病気が治る症例が増え、「不治の病」とは言われなくなっていきました。
しかし、骨髄の提供者(ドナー)のコーディネート(調整)に長期間が必要な上、ドナーから骨髄を採取する際に行う全身麻酔や数日間の入院が必要なうえ、ドナーの都合で骨髄提供を断られることもあり、患者さんの必要な時に間に合わないというケースが起こっていました。
これに比べて臍帯血移植には、以下のようなメリットが挙げられます。
メリット1 | 臍帯血は既に採取され、冷凍保存されているものを使うので、治療が必要とするとすぐに供給 できる。 |
メリット2 | 提供者が外科的行為を受けることなく安全で、経済的・時間的負担がほとんどない。 |
メリット3 | 血液のHLA(白血球の血液型)のタイプが多少違っても拒絶反応が起こしにくい。 |
メリット4 | 臍帯血中の造血幹細胞は骨髄液中のそれに比べ5〜10倍多い。 |
どんな人を助けられるの?
臍帯血移植では、骨髄移植と同様の病気の治療ができます。
白血病
白血病のうち、通常の化学療法(抗癌剤での治療)では治癒が望めないものに対して適応となります。
再生不良性貧血
再生不良性貧血では、骨髄移植による治療が優先されますが、何らかの理由で、その治療が無効あるいは受けられない場合に、臍帯血移植が行われます。
先天性免疫不全症
先天性免疫不全症においては、多くの場合患者さんが体重の少ない乳幼児であることや拒絶をするだけの免疫能がないことなどの理由から、臍帯血移植が適していると考えられています。
先天性代謝異常疾患
ムコ多糖症、副腎白質ジストロフィー(ALD)などの先天性代謝異常疾患では患者さんの免疫能が正常であることから、移植した臍帯血が生着しないことが多いので、拒絶を防ぐための治療上の工夫が必要です。
どのくらいの人が助かったの?
臍帯血移植は今や骨髄移植とともに、血液疾患の根治治療として確立しています。累計移植実施症例数は20,000件を超えています(2021年3月17日。日本赤十字社)。多くの患者さんの命がこの治療によって救われているのです。
臍帯血をあげるには?
出産の際にお母さんのご協力で「提供」していただいた「臍帯血」は、患者さんの治療のため移植に使われます。そのため、移植に用いる臍帯血は、健康な母子から採取され、高度な基準のもとに保存されたものでなくてはなりません。
だから臍帯血の採取には、厳密な基準があります。そのためにはスタッフの訓練と採取施設(産科病院)との契約が必要です。
採取された臍帯血は、移植治療に使用するまで凍結保存をします。また、移植を受ける患者さんの安全を確保するため、処理と保存には無菌管理が必要です。このため、出産による臍帯血の採取は、契約した産院でのみとなっています。
臍帯血を採取できる病院は、全国6カ所の公的臍帯血バンクと、そこと提携している全国97の臍帯血バンク提携施設となります。
美容でも注目!
このようにヒト臍帯血には人体を形成する様々な細胞が含まれています。数百種類のサイトカイン※が豊富に含まれており、再生医療分野だけでなく、美容業界でも「アンチエイジング」としてとても注目されているのです。
※サイトカイン・・・主にタンパク質からできており、細胞から生産・分泌される物質。
サイトカインは細胞同士の情報を伝達し、免疫細胞を活性化させたり
抑制したりするはたらきを持っており、免疫機能のバランスを保つため
の重要な役割を担っています。
参考サイト
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